オフィスに氷:夏の省エネ、エコロジー2007年08月16日 10時02分17秒

AW Sunday, August 12, 2007 (1778 Vol. 35 / No.31)

実際に自分の目で見たのか、TV あるいは新聞などで、後で見たのか記憶が定かでないが、オフィスの中に大きな氷のブロックを何個か置いて室温を冷やしていた風景が目に浮かんできた。氷の中に花などを閉じ込めていっそうの清涼感と美しさを演出したのもあったようだった。エアコンなどが当たり前に普及してないローテクの、時間が緩やかに過ぎた時代のこと。

今年のニューヨークの灼熱の中、エアコンが最大限に稼動し、電力の供給がリミットになる状況下、クレディット・スイスのオフィスでは、氷の塊を使って冷たい空気を送って、エネルギーを節約して、年間、百万ドルものコストをカットしていると言う。簡単に言えば、総電力消費が減り、電力料金が下がる夜間に氷を作成して置き、昼間に冷却の元として使用する仕組みだ。これは、公害の低減にも役に立つ。一つのビルの氷冷却システムで、年間、223台の車の汚染の低減、2百万エイカーの木々の二酸化炭素吸収、に値するとのこと。 年間、2百万 kwh に相当し、200軒の電力をまかなえる。

夏の暑い熱を冬まで取っておき暖房に使う、冬の寒さを夏まで取っておき、冷房に使う、これが実現できたらと、誰もが一度は想像したことだろう。出来れば、超ノーベル賞級だ。日本でも、日光地方だった思うが、冬の間に作っておいた天然の美味しい氷を、鋸屑まみれにして氷室に保存して置き、夏に爽やかに使っている例がある。ハイテクそのものにだけ走らず、エネルギーなどの各種リソースの、時間的なトランスフォームを、ハイテクをも使って実現する方向にも人間の英知を振り向けることが、大切な好例だと思う。ローテク、スローテクとハイテク、ファーストテクの融合、これからの人類の課題だろう。